掛け軸の歴史: (3) 鎌倉時代 | 水墨画の伝来

投稿者 :翁志刚 on

その後、 鎌倉時代(1185年-1333年)に入り、 日本と中国の間で禅僧の往来が盛んとなり日本に禅宗と共に水墨画が伝わり盛んとなった。日本に伝わった絵画は、『達磨図』・『瓢鮎図』などのように禅の思想を表すものであったが、徐々に変化を遂げ、「山水画」なども描かれるようになった。室町時代以前のこの時期の水墨画は絵仏師や禅僧が中心となって製作された。

禅宗では悟りの法を師匠から弟子へ伝える事を重視する考え方であり、師匠の法を継いだ事を証明する為に弟子に与える師匠の肖像画「頂相」や禅宗の始祖である達磨大師をはじめとする祖師像などの絵画作品の需要があった。なお、水墨画と禅宗の教義には直接の関係性はなく、水墨画は中国からの文化のひとつとして受け入れられたと考えられる。それを裏付けるものとして多宗派の寺院の装飾にも水墨画が用いられている事が挙げられる。

鎌倉時代に中国よりもたらされた水墨画の流行により、掛軸はこれまでの「掛けて拝する」という仏教仏画の世界から、花鳥風月の水墨画など独立した芸術品の魅力を引き立てる補完品としての機能を強めていく。この中国から伝わった文化を宋元(そうげん)文化と呼ぶ。

 

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